この記事では、2014年6月21日(土)で開催された新日本プロレス大阪大会「Dominion」の観戦記をお伝えします。後半です。

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イオンシネマで上映された、新日本プロレス大阪大会、Dominion (2014/6/21)のライブビューイングを見てきました。各試合の感想を、その1に続いてお届けします。休憩明けの4試合です。

第6試合:30分1本勝負 スペシャルタッグマッチ

桜庭 和志 &×矢野 通

飯塚 高史 &○鈴木 みのる
[15分13秒] ゴッチ式パイルドライバー→体固め

もと格闘家2人と、仲間割れしたタッグチームのパートナー同士によるタッグマッチ、もといネタ試合ですね。と思っていたら、意外な好展開になりました。

もと格闘家にして、気づけばプロレスに来て10年くらい経っている鈴木みのると、未だプロレスラーなのか総合格闘家なのか中途半端な立ち位置の桜庭。鈴木憎さのあまり矢野とタッグを組んだ桜庭と、矢野を裏切った飯塚と組んだ鈴木。

どちらも急造タッグながら、タッグマッチに適応できていない桜庭とは対照的に、鈴木軍側が見事な連携を見せました。これまでフラフラ暴走しているだけだった飯塚が、ものすごい理詰めな動きを見せたのです。鈴木がリングにいるときは場外に経ってユラユラしてるだけなんですが、随所でタッチワーク・合体技をして、試合を優位に進めます。実況・解説曰く「鈴木みのるが完全に飯塚をコントロールできている!」

飯塚のキャラってこれまで迷走している感じがあったのですが、これは恐らく鈴木が徹底的にプロデュースしたんでしょうね。「動きは予測不可な暴走キャラだけど、プロレスの試合は成立させる」という軸を作ったのでしょう。とっても良いと思いました。そういうわけで、タッグの連携が上手くできなかった桜庭・矢野と明暗が分かれ、最後は鈴木がゴッチ式パイルドライバーを矢野に決め、勝利した後は桜庭にも同じ技を決めて、鈴木軍が去って行きました。

これまでの飯塚を誰がプロデュースしていたのか分かりませんが(矢野かな?)、クレイジーコンビ時代と比べると、遥かに面白くなったと思います。


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未だに「矢野面白い」ムーブメントには乗れない・・・

第7試合:30分1本勝負 スペシャルタッグマッチ

 ×石井 智宏 &オカダ・カズチカ

○高橋 裕二郎 &AJスタイルズ
[15分53秒] マイアミ・シャイン→体固め

IWGPヘビーとNEVER王座のいわゆる前哨戦です。少し前なら、石井が奮闘した末にAJに敗れる、という結末が見えていて、あんまり期待できないカードだったのですが、今やベルト保持者にしてビッグマッチの立役者になっているので、いったいどうなるのか読めませんでした。

前哨戦と甘く見ていましたが、これがなかなか凄かった。オカダ対AJの攻防がまず凄い。映画館の大画面で見るのと、横浜アリーナの後ろの方から見るのでは迫力が違います。オカダがあの長身でAJスタイルズをショルダースルーしたときには思わず声が出てしまいました。

オカダとAJの刺激的なぶつかり合いと対象的だったのが、石井と裕二郎。真正面からぶつかることで相手の良さを引き出すタイプの石井にとって、相手を小馬鹿にした闘い方をする裕二郎は全然噛み合いません。

しかし、介入してきたAJと裕二郎にまとめて立ち向かうなどして、徐々に石井ワールド前回になってきます。石井は本当にどんな組み合わせでも燃え上がらせることができるのですね。しかし、最後は裕二郎のマイアミシャインが炸裂し、石井が敗れる事となりました。前哨戦とはいえ、なかなか見応えがありました。

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第8試合:60分1本勝負 IWGPタッグ選手権試合

 ×真壁 刀義 棚橋 弘至(チャレンジャーチーム)

&ドク・ギャローズ ○“ザ・マシンガン”カール・アンダーソン(第64代チャンピオンチーム)
[14分41秒] マジックキラー→片エビ固め
※アンダーソン&ギャローズが5度目の防衛に成功


そろそろこの王者組にもみんな飽きてきたのでは、ということで新日本本隊のトップどころが出撃です。しかし、真壁は顎の骨折が完治していないなかでの強行出場となりました。

試合のカギとなったのはやはり真壁の顎。ギャローズが普通の地獄突きを見舞った途端、真壁は悶絶します。その後も、随所で反撃を試みるのですが、顎を攻撃されると戦線離脱するレベルの苦しみっぷり。試合の大半は棚橋が1人で王者組2人を相手にする状況に陥ります。棚橋の奮闘は相当なもので、途中に放ったスリングブレイドは気持ちのこもった重い一撃でした。しかし、度重なる合体攻撃で、さすがの棚橋もボロボロで、勝ち目は無さそうに見えました。

しかし、雑草魂を信条とする真壁は、痛みをおして復活。棚橋を助け出し、合体攻撃も1人で迎撃し、アンダーソンをデスバレーでダウンさせ、棚橋のハイフライフロー、真壁のキングコングニーで大逆転勝利!と思ったところに、ギャローズがイス攻撃!真壁のキングコングニーは不発に終わります。

依然グロッキーだったアンダーソンに立ち向かう真壁ですが、ここでアンダーソンは電光石火のガンスタンを炸裂させます。すぐさま合体のマジックキラーが決まり、真壁が敗戦してしまいます。

この試合も熱かった。確かに王者組が優勢に試合を進めていたのですが、挑戦者組の粘りは相当なものでした。「怪我さえしていなければ…」「あのイス攻撃さえなければ…」と気づけば祈っている、感情移入してしまう良い試合でした。

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第9試合:60分1本勝負 IWGPインターコンチネンタル選手権試合

×中邑 真輔(第8代チャンピオン)

○バッドラック・ファレ(チャレンジャー)
[15分くらい] バッドラックフォール→片エビ固め
※バッドラック・ファレがIWGPインターコンチネンタル王座を奪取。第9代王者に。
 
注目のメインにして、本日一番不安な試合でした。恵まれた体格を持ちながらも、貫禄と動きがイマイチな感じのあるバッドラック・ファレ。 でも、相手はどんな状況も湧かせられるレベルまで上り詰めた中邑真輔なので、きっといい試合になる・・はず。

試合は中邑がいかにファレの眠れるポテンシャルを引き出すか、に焦点が絞られると思っていました。ファレの腕組み仁王立ちポーズをマネしたり、ファレにツバをかけて、中邑が随所でファレを挑発します。そのお陰もあって、今日のファレはいつもよりアグレッシブに動いていたように思います。

ただ、意外だったのは、中邑が「巨漢外国人選手と戦うときの動き」をけっこうしていたことです。打撃だけでなく、絞め技や、投げ技も駆使してファレに立ち向かったのです。立ち位置がパワーファイターではない中邑ですが、雪崩式ブレーンバスターやリバースパワースラムといった大技でファレの巨体を投げたのです。

今日の中邑はいつも以上にヒザ蹴りやボマイェを炸裂させていた気がするのだけど、ファレの巨漢にトドメを刺すにはいたらなかったようで、最後はファレのパワーボム、コーナー最上段からの(よろめきながらの)ダイビングボディープレス、バッドラックフォールからの渾身のエビ固めの前に、まさかの3カウントを聞く事になりました。

ライブビューイングの客席はみんなびっくりして無言です。

まさかの王座移動に加え、試合後は中邑は担架で運ばれたこともあり、バックステージでのバレットクラブのインタビューも含め、観客席はどんよりとした空気につつまれました。

というわけで、まさかのバッドエンドに終わった大阪大会でしたが、Jrの試合を中心に好勝負が続出して、全体的には満足度の高い興行でした。

<6/22追記>
あと、ファレ全然好きじゃないのですけど、試合が決まった直後、汗だくの顔がアップで映った際、どうも涙を浮かべていたように思いました。こういうのに弱いので、思わずもらい泣きしてしまいました。



観戦記はこれで終了ですが、次回は番外編として、「ライブビューイングというイベントの体験記」を書きます。 思いのほかオススメです!


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